SSブログ

モナドの領域 筒井康隆・著 [読書記録]


モナドの領域

モナドの領域

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/12/03
  • メディア: 単行本




発売されてすぐに買ったのだけど、当時はいろいろやらなきゃならないことがあったので、ゆっくり読書が楽しめる時期になったら読もう、と、最近まで封印しておいた。

何しろ、著者自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と宣言する究極の小説だというから、ものすごく期待して読み始めた。

冒頭では、河川敷で女性のものと思われる片腕が発見され、美貌の警部が登場してきて、あれ?これは「富豪刑事」みたいな展開になるのかな?と思いきや、何かに憑依されたような芸大の学生が出てきて、発見された片腕に瓜二つのパンを焼いたり、個性的な大学教授が出てきて、それも何かに憑依されてしまって、自ら「神」を名乗ったり、その「神」が法廷に呼ばれたり、ハチャメチャな方向に話が展開していく。

今までの筒井作品のどこかで読んだ話が、あちこちにちりばめられていて、筒井作品をたくさん読んでいる人には、あー、なるほど、ここでこう来たか、と、楽しめる作品にはなっているけど、初めて読む人には、なんだかわけのわからないストーリーにしか思えないだろうなあと。

「神」というのは、特定の宗教の神ではなくて、この世界を作った「宇宙意思」であって、そういう存在が、日本のある場所に降臨してしまうというのも、かなりめちゃくちゃだけど、この、「神」は、混迷する世の中に「救い」をもたらしたりはしない。
生まれるのも、滅びるのも、宇宙意思の美学なのだと。
美しいものも、醜いものも、同じように愛おしい存在であるということ。

若いころから筒井作品を読んできて、筒井的思想に洗脳されている私には、すんなり入ってくる内容なんだけど、他の人たちはどんな風に読んだんだろう?と、気になって検索してみた。

筒井康隆がどう読んでも「最高傑作」じゃない『モナドの領域』を「最高傑作」と言い切った理由
http://top.tsite.jp/news/tv-drama/o/26660124/index

今週の本棚 池澤夏樹・評 『モナドの領域』=筒井康隆・著
https://mainichi.jp/articles/20160110/ddm/015/070/032000c

筒井康隆最後の長篇か? 噂の「モナドの領域」最速レビュー
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20150908/E1441618598824.html

ついでに著者本人の談
巨匠・筒井康隆が最後の長編小説『モナドの領域』を語る
「究極のテーマ『神』について書いたので、これ以上書くことはない」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47287

この本を読みながら思ったのは、あー、私って、筒井さんの本を若い時から読んでいたから、特定の宗教を心から信じるっていうことができないんだろうなあ、ということ。
キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、みんな同じ。
この世界を作ったという、造物主は、たった一つなのだろう。
仏教は宗教じゃなくて哲学だっていう意見もあるけど、根本にある宇宙の理の考え方は、みんな一緒だろう。

というわけで、今は、ちょっとイスラム教についても知ってみようかなあと思って、こんな本を読んでいる。

コーランを知っていますか (新潮文庫)

コーランを知っていますか (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: 文庫



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。